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水戸地方裁判所 昭和53年(わ)479号 判決

本店所在地

茨城県竜ケ崎市貝原塚町二、一八七番地

三栄工芸株式会社

(右代表者代表取締役 中村壽富)

本籍・住居

神奈川県藤沢市藤沢二三一番地

会社役員

中村壽富

事件名

各法人税法違反

出席検察官

樋田誠、梅村裕司

主文

被告人三栄工芸株式会社を罰金四七〇万円に、被告人中村壽富を懲役六月に各処する。

被告人中村壽富に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人三栄工芸株式会社(以下、被告会社という。)は、茨城県竜ケ崎市貝原塚町二、一八七番地に本店を置き、木材、素材及び加工品類の製造販売等を営むものであり、被告人中村壽富は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるところ、被告人中村壽富は、被告会社の業務に関して法人税を免れようと考え、売上の一部を除外し、架空材料仕入を計上するなどの方法で所得を秘匿し

第一、昭和四九年八月一日から昭和五〇年七月三一日までの事業年度の被告会社の所得金額が五、七二四万二、七一七円でこれに対する法人税額は、二、一五四万二、六〇〇円であるにもかかわらず、同年九月二九日、同市川原代町字古川一、一八二番地の五所在の竜ケ崎税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が、一、九七八万七、〇六四円で、これに対する法人税額が、六五八万三、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額と右申告税額との差額一、四九五万九、〇〇〇円をほ脱し

第二、同年八月一日から昭和五一年七月三一日までの事業年度の被告会社の所得金額が、六、三二七万九、二四一円で、これに対する法人税額は、二、三七〇万三、三〇〇円であるにもかかわらず、同年九月三〇日、前示竜ケ崎税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が三、五〇〇万六、八八四円で、これに対する法人税額が一、二四〇万八、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額と右申告税額との差額一、一二九万四、四〇〇円をほ脱したものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実を通じ

一、被告人中村の

(1)  当公判廷での供述

(2)  検察官に対する昭和五三年七月二五日付、二六日付各供述調書

(3)  大蔵事務官に対する昭和五二年八月一〇日付、九月七日付、九日付、一一月四日付、二五日付、同五三年二月一七日付、二四日付、三月一三日付、一五日付、二七日付各供述調書

(4)  答申書二通

一、清水良洋(四通)、田中義夫の大蔵事務官に対する各供述調書

一、登記簿謄本二通

一、竜ケ崎税務署長の「証明書」と題する書面

一、検察事務官の「報告書」と題する書面

一、大蔵事務官の

(1)  簿外売上調査書

(2)  架空仕入調査書

(3)  交際費調査書

(4)  受取利息調査書

(5)  支払利息調査書

(6)  交際費限度超過額調査書

(7)  未納事業税調査書

一、検察官の電話聴取書

同第一の事実につき

一、大蔵事務官の脱税額計算書(49・8・1~50・7・31)

同第二の事実につき

一、大蔵事務官の

(1)  脱税額調査書(50・8・1~51・7・31)

(2)  株主対策費調査書

(法令の適用)

被告人会社につき 各法人税法一五九条、一六四条一項

被告人中村につき 各同法一五九条(各懲役刑選択)

併合罪の処理

(1)  被告人会社につき 刑法四五条前段、四八条二項

(2)  被告人中村につき 同法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予(被告人中村につき)同法二五条一項

(量刑の事情)

本件各犯行は、二年度にわたり、売上一部除外、架空仕入など巧妙な手段によつて、二、六〇〇万円を超える法人税をほ脱したものであつて、被告人らの責任は重大であるといわなければならない。

しかし、被告人は本件犯行を総て認め、捜査にも協力し、公判廷においても一切争わず、明らかに反省の情が認められるほか、手形によるものではあるが本件の各本税、重加算税、延滞税を支払つており、前科もないことからすると再犯のおそれも殆んどなく、このような事案については量刑上十分配慮すべきものがあるものというべく、諸般の事情を考慮して主文のとおり判決する。

(裁判官 大関隆夫)

別紙1 修正損益計算書

自 昭和49年8月1日

至 昭和50年7月31日

〈省略〉

別紙2 修正損益計算書

自 昭和50年8月1日

至 昭和51年7月31日

〈省略〉

別紙3

〈省略〉

別紙4

〈省略〉

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